久坂の目が赤く充血しているのと少し鼻

久坂の目が赤く充血しているのと少し鼻声な事に気付いて三津もある程度の察しはついた。もうすでに瞳は潤んでいるが口をへの字に曲げて堪え,大人しく久坂達と向かい合って座った。

 

 

「先程,池田屋までの道中で稔麿の亡骸を見つけました。」

 

 

久坂は三津の前に吉田の大小を,入江は遺髪を包んだ懐紙を置いた。【BOTOX 美容】 收鼻翼、去除眉心紋療程資訊 - Cutis

 

 

三津は恐る恐る大小に手を伸ばした。吉田がくれた下げ緒と同じ物が巻かれている。三津はそこを撫でながら静かに涙した。

 

 

「吉っ田っさんはっ何処にっ居ますかっ?」

 

 

「連れて帰ってきて今は庭先に……会われますか?」

 

 

三津はしゃくりあげながら頷いた。久坂と入江は頷きあって立ち上がり三津を案内した。

吉田の周りにはその死を惜しむ藩士たちが集まりすすり泣く声がしていた。

そこに三津が現れると自然と道が開けた。

 

 

「どうぞ。」

 

 

久坂の声に促されゆっくりと歩みを進め,吉田の目の前に辿り着くとその場にへたり込んだ。

 

 

「吉田さん……。」

 

 

冷たくなった手を取って握りしめた。握り返してくれない手を両手でしっかり握りしめて頬を寄せた。

 

 

「おかっりっなさっ……わたっしっ約……束果たっしたっからっ!褒めってっ!」

 

 

当然返事など返ってこない。こっちを見てもくれやしない。それでも呼吸を整え直しながら話しかけた。

 

 

「来世で一緒になるって約束……守れるか分からへんけど,でもっ吉田さんがその時まっで私のっ事っ覚えててっくれるならっ……またっ会いたいっ……会いたいっ!」

 

 

肩を揺らして泣く三津を誰もが静かに見守った。

 

 

「稔麿が貴女を忘れるはずないでしょう。稔麿はまだここに居ますから一旦中へ。傷が悪化しないように薬も塗り直さなければ。」

 

 

三津は無言で吉田を見つめてからそっと手を離した。

久坂に支えられながら広間に戻るとみんなに握り飯を配るサヤとアヤメが居た。

 

 

「あっサヤさん丁度良かった。湯浴みの用意をしてもらえませんか?出来れば三津さんの湯浴みも手伝ってもらえたら……。」

 

 

「え?三津さん?」

 

 

居るはずのない三津が居るだけでも驚きなのに,久坂に肩を抱かれて立つ三津は血塗れの着物で憔悴しきった顔をしている。

それが衝撃過ぎてサヤは皿に乗ったおにぎりを落としかけた。アヤメの方はしっかり落とした。

 

 

「すっすぐに!」

 

 

サヤとアヤメはばたばたと準備に取り掛かった。三津はその様子を仕事を増やして申し訳ないと言う目で見た。

 

 

「そっか湯浴み……すっかり忘れてました。私血生臭さい……。」

 

 

おまけに走る為に裾は切り裂かれ,手当の為に引き裂かれて左の袖もない。ボロボロだ。

 

 

「見苦しい格好ですみません……。すぐに綺麗にしてきます……。」

 

 

三津は鼻を啜りながらよれよれの体で浴場に向かった。一人で入れるのにサヤが付き添って背中を流してくれた。

 

 

「乃美様から事情は伺いました。私も後ほど吉田さんに挨拶させてもらいます。大変……お世話になったので……。ごめんなさいっ……。」

 

 

サヤは手を止めて涙を拭った。

 

 

「サヤさんまで泣かして。後で文句言ってやります。」

 

 

悲しくて仕方ないのにこんな冗談を言えてるのが不思議で堪らなかった。新平の時はそんな余裕なんてなくて,ただ後悔と懺悔の日々だった。

 

 

「ふふ……。その方がいつもの三津さんやって吉田さんも安心しはるかもしれませんね。」

 

 

「そうですかねぇ……。」

 

 

もしそれで安心してくれるなら泣いてばかりではいられないな。後で笑顔でも見せてやるか。そんな事考えながらもやっぱり泣いた。湯浴みを終えて縁側に腰掛けて風に当たった。洗い髪を手拭いで揉みながら水気を取っているとまたにわかに藩邸内が騒がしくなった。

 

 

「三津さん!桂様が戻られました!!」

 

 

アヤメからの知らせに三津は弾かれたように駆け出していた。全力で廊下を走っていると広間の前でその姿を確認した。